闘病記 死神の話

  西村先生が闘病中に書かれたエッセイが見つかりました。先生はご病気になる前から時々「僕は死神に見放されてしまった」とおっしゃっていました。その時おっしゃっていたことと、この時期におっしゃっていたこととはまた意味合いが違うとは思いますが。しかし、こういうこともしっかりと書き記されている(パソコンに入力されている)ところも先生らしいなと思いました。

 

20191126 闘病記 死神の話

グリム童話に死神の話があったと思います。

昔名医が居て名医には死神がついていました。名医が患者を診たとき死神が頭の方に立っているとその患者は助かり足の方に立っていると死ぬのです。死神の指示通りにしていると助かる人は必ず助かったので名医と認められたのです。しかし、ある時どうしても助かりたい患者が居ました。しかし、患者の足元に死神は立っていました。そこで名医は患者をくるっと回して反対に向け患者の頭を死神の方に向けました。患者やはり助かりました。しかし、死神は出なくなりました。

私は死ぬべきところを助けられた者です。死神に見放されて生きています。今は死にたいほど苦しいけれど生きなければなりません。死神に見放されるということはどんなに苦しいかを経験しているところです。わかって頂けるとありがたいです。

 

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