初夢について

 今年の正月は年末からの申込と、おそらく、初夢に刺激されての来談とがあった。今年は3月で定年退職となり、檀渓心理相談室で4月から働くことになっているので幸先の良いスタートであるかもしれない。

 年末年始は仕事が無くて暇になる。私もいろいろとなすべき仕事があるにもかかわらず、とにかく何もしないことにして、暇な時間を作った。そのことがどこかを経由して人の心に伝わり、新しい相談の申込となったのかもしれない。暇になったからそれを埋め合わせるように仕事が入ってくる。常識で考えればそんなことはあるはずがない。これを真顔で話すと、常識を超えたことを信じているユング心理学かぶれと思われることだろう。こんなことはユング心理学ブームが去った今では、なおさら言わないで黙っていた方が真実味がある。

 人は暇ができると夢を見るようになる。夜見る夢も同様である。暇になると自分の生活を省みる。来し方行く末について考えてみる。そして自分の当面している事態を俯瞰し、これからどうすべきか考える。年末にふさわしい精神的な作業である。人びとが第九だ、紅白だと気をとられているとき静かな時間の中で考えるのは、年の瀬にふさわしい心がけである。

 初夢に触発されて来談されたらしい方は、初夢に添えて、自分がおかれている事態を箇条書きで整理し、聴きたいこととして示された。このような心の整理をされて年の瀬を越されたのであろう。それに対して夢がメッセージを出してきた感じであった。問題を心の中で提出したので夢がそれに答えたのである。夢はその方が今後どのように生きたらよいかを示しているように思われたので、私の感想を述べるとすぐに納得していただけた。このような夢はほとんど解釈のいらない夢である。心が本当に素直な方だから問題に対して素直な解答が出たのだと思う。夢の示すところを実現していくには長い時間がかかるが、その過程そのものがすべて夢の実現なのだから、夢によって人生を導かれることになるだろう。

 

 私はカウンセラーとして初夢の解釈をちょっと手助けしただけである。人生の問題の分析はその方が、その回答は夢がしてくれているのだから、神様が啓示を与え、カウンセラーが金を貰うので少し心苦しい。年の初めからこのような意味のある偶然に出会うことができたことがうれしい。今年はこのような仕事ができるように努力をしていきたい。