この相談室に、とても豪華な贈り物をいただきました。
先月6月に前室長の西村洲衞男先生の命日を迎えたこともあり、西村先生が生前とても親しくしていた方が相談室に遊びに来てくれました。このホームページの「檀渓心理相談室にあるいろんなもの」で紹介しているレインスティックをプレゼントしてくれた、“歳の離れたご友人Kさん”です。Kさんは、自分が持っているよりここにあったほうがいいだろうからと、ユングの「赤の書」を持ってきてくれました。
この本は長いあいだ秘密にされていたユングの著作です。ユングがフロイトと決別した後に深刻な精神的危機に見舞われたことはよく知られていますが、この「赤の書」はその危機のさなかにユングが体験したことを記録した本です。様々なイメージや夢、それにまつわる対話、ユング自身が描いたマンダラなど様々なものが残されています。あまりにも個人的な内容であることなどから、ユング自身は公にすることを望まず、生前は親しい人にしか見せていなかったそうですが、ユングの死後、約50年の後、2009年に初めて一般公開・出版されました。日本でも原寸大の完全版の他に、書籍サイズのもので絵や挿絵がカットされたもの、逆に絵や図反中心のものなどが発売されたようです。
Kさんが持ってきてくれたのは、原寸大の完全版で、「赤の書」というだけあって赤い布で装丁されたとても美しい本です。サイズはほぼA3サイズ、厚みは約5㎝、黒い立派な化粧箱に収納されており、重さは5㎏近くあります。梱包を含めたらおそらく6㎏ぐらいにはなっていたでしょう。びっくりするぐらいの重みですが、直接渡そうと、炎天下の中、遠方からこの本を抱えて持ってきてくれました。Kさんの思いがうれしく、早速、面接室に置いてみましたが、強烈な存在感を放つ本で、慣れるまでに少し時間がかかりそうです。
この相談室には、例えば長年かかって集めた箱庭のアイテムなど、私たちにとっての宝物がいくつかありますが、このKさんが持ってきてくれた「赤の書」もそのひとつになりそうです。
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