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読後の感想

 先週末、村上春樹の新作が発売された。発売日当日に本屋で手に入れ、何とかその日に読み終えることができた。

 詳しい内容についてはもちろん触れないが、関係の修復がひとつのテーマとなっていたように思う。カウンセリングにおいても関係の改善や修復がテーマになることは多く、小説で描かれた修復のプロセスを興味深く読んだ。いろいろと印象深く、読み終わってからもあれこれと考えた。

 

 この相談室では、相談に来た人の話を聞き、より深く考え、話し合い、これからどうしていったらいいのかを一緒に探る、そういったカウンセリングを行っている。相談室のホームページにも掲載している「良い出会いをするために より良い自分らしい生活を見つけるために 自分自身とより深い出会いをするために」というフレーズは、昔、前室長が相談室のパンフレットを作成した時に考えたものだ。この相談室で目指すカウンセリングの方向性を示したものとしてこれ以上適切な表現はないと思い、現在もそのまま使っている。

 カウンセリングはカウンセラーか相談に来た人か、どちらか一方だけががんばるものではない。一方が主導権を握り、片方が受身的になるようなものでもない。カウンセラーも相談に来た人も、2人ともが、それぞれ自分自身のこころに素直に向き合い、できるだけ誠実に話し合うこと、そうやってカウンセリングの場での出会いをより良いものにしていくことが重要なことだと考えている。「良い出会い」といっても、カウンセリングにおける関係は日常生活での人間関係とは異なるもので、通常の人間関係で良いとされることとは違うことに力を注ぐことも多い。例えば、普段の生活ではささいなことだからと無視してしまったり、言いにくいからとごまかしてしまったりするようなこと、そういったことにこそ何か大事なものがあるのではないかと考えたりする。一般に良いとされているものが大事とは限らないし、一般に悪とされているから無くさなければならない、というものでもない。ただそれがそこにあるということ知り、素直に認める。こういう方向性がカウンセリングにおける出会いをより良いものにし、新しい道を切り開いていくことになるのではないだろうか。

 カウンセリングの中での出会いがより良いものになれば、カウンセリングの外側、日常生活でも何かが見えてくるかもしれない。もちろんそこに明確なつながりや因果関係があるわけではない。こうすれば必ずああなるというものではない。しかし何か良い、新しいものが生じるような土台、基礎としての良い関係を模索することが、カウンセリングにおいて重要なことのひとつだと考えている。

 

 村上春樹の新作とは直接関係ないかもしれないが、本を読んでそんなことを考えた。

 

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