急に暖かくなってきて、春が近づいているなと感じる。
暖かくなって過ごしやすくなるのはいいのだが、冬から春への変化はかなり大きなものに感じられ、それについていくのがしんどいと思うことがある。ちょうど年度の終わりで、季節の変化だけではなく生活の様々な場面で変化を意識することが多いからかもしれない。たとえ自分は何も変わらなくても、周囲には様々な変化がある。変化に接してそれを受け入れていくことは、それなりにストレスのかかることだ。
ストラビンスキーという作曲家がいる。20世紀を代表する作曲家のひとりとも言われており、特にバレエ音楽は有名で、「火の鳥」「春の祭典」が代表作として挙げられる。
「春の祭典」は今から約100年前に発表された作品だが、音楽もバレエの振り付けも当時はあまりに斬新すぎ、初演時には途中で野次がひどくなるなどの混乱が起きたことで有名だ。ただその後は評価が変わってきて、今ではバレエも音楽も人気の演目となっている。
聴いてみると分かるが、「春の祭典」の音楽は「春」という言葉から一般的にイメージされるような穏やかさや暖かさや優雅さとは全く異なるものだ。他を圧倒するような荒々しい勢いがある。以前、この曲をオーケストラの生演奏で聴く機会があったのだが、音の洪水に押し流されそうな感じがした。ちなみにバレエの方もDVDで見たことがあるが、古典的な「バレエ」、例えば「白鳥の湖」などのような優美なものとは全く異なり、原始的とも言えるようなパワーを感じるものとなっている。
春には様々な植物が芽吹き、花を咲かせ、地中に眠っていた生き物も外に出て活動を始める時期だ。今まで内にあったものが外に出てくる、眠っていたものが起きて動き出す、そのためには、相当な勢いが必要になる。エネルギーが爆発するような、それぐらい強いパワーがあるからこそ、大きな変化が一気に起きるのだろう。
ストラビンスキーの「春の祭典」を聴くと、春というのは本来こんなふうに他を圧倒するような荒々しさ、原始的なパワーや力強さをはらんだ時期なのだということに改めて気づかされる。この荒々しさに吹き飛ばされないように、いつもよりも地に足をつけて生活することを心がけようと思っている。
