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夜の木

 「夜の木」というインドの絵本を買いました。木にまつわるお話とともに、美しく不思議な魅力を放つ木の絵がいくつも描かれている本です。実際の本を手にとって見る機会があり、すぐに私も欲しくなってしまいました。

 4400円(税込)と絵本としてはかなり高額です。しかしこの本は手漉きの紙を使い、印刷や製本も全て手作業で作られているのだそうで、それを考えれば当然の値段だと言えるでしょう。出版元のタムラ堂のホームページには「手漉き紙に、シルクスクリーンで一枚ずつ刷られ、製本は手製本。インドのチェンナイ郊外の工房で、一冊ずつ丁寧に仕上げられました(シリアルナンバー入り)。まさに工芸品とも言うべき絵本」だと書かれていますが、実際に手にとると本当に「工芸品」と感じられる美しい本です。

 版ごとに表紙の絵が変わるのだそうで、現在出版されている13刷では、お話にも登場する「蛇の女神」が表紙になっています。今年の干支は巳、つまり蛇ですが、蛇は古来、世界中で神聖で生命力がある存在と考えられてきました。ギリシャ神話に登場する医学の神様アスクレピオスの持つ杖には蛇がまきついていて、この杖はWHOのマークなどにも使われています。相談室近くにあるクリニックの看板でこの杖が描かれているのも見ました。ハブ酒やマムシ酒など蛇をお酒につけたものも昔からありますが、おそらく蛇が持つとされる生命力を取り入れようとして飲まれるものでしょう。

 ちなみに、絵本の中には“「夜の木」通信”という付録が入れられていますが、それによると村上春樹の小説「街とその不確かな壁」の文庫版の表紙カバーには、この「夜の木」の中の絵が使われているそうです。

 興味をもたれた方はぜひ手にとってみてください。とても素敵な本です。

 

 

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