あの牛が食べたい

 6月7日から20日までアメリカ西海岸へ旅行をしてきました。英語が全くわからない私と良子先生の旅ですから空港に着いたところから帰りの荷物検査のところまで次郎さんにすっかりお世話になりました。

 迎えに来てくれた次郎さんが太い毛糸で編んだセーターを着込んでおり、周りにはダウンジャケットの人もいて冬の世界に来たのだと思いました。

 次郎さんの曹洞宗のお寺のある山に着くとそこは今カリフォルニアポピーが咲き始めたところでこんな花の時期に出会えるなんて幸せだと感激しました。これからテレビも新聞もない生活で自分を取り戻すには良い機会でした。

 山を下りてLos Gatosの町に出て大きなスーパーの入り口近くに駐車場にして、車の中のバッグが見えるところにあり、車の窓も熱気を逃がすために少し開けてあったので次郎さんにあれは危ないと言ったところ彼は心配ないというので驚きました。アメリカの中にはまだこんな安全なところがあるのだと感心しました。ベトナム戦争以前はロサンゼルスでも安全だったと聞いています。日本の車上荒らしやひったくりはついにアメリカ以下になったと思いました。

 サンフランシスコからロサンゼルスへ1号線を車で走って行くと景色のよいところがいっぱいあります。また、なだらかな丘の草原には牛が点々といます。のんびりと草を食み、つややかないかにも健康そうな黒い牛たちが見えました。お昼は何がいいかというのであの牛が食べたいと言いますと良子先生や次郎さんに笑われました。レストランに着くと一番に大きくステーキと出ているので、きれいな花と海を眺めながらステーキを食べました。それはそれはおいしいフィレステーキでした。牧草だけでさわやかな風とさんさんと降り注ぐ太陽の光の中でのんびりと育った牛のフィレはおいしかったです。日本の配合飼料で人工的にストレスの中で育てられた牛の肉とはイメージは全く違うのです。日本人はナチュラルな牛肉ではなく加工食品としての牛肉を好んでいるのではないでしょうか。

 これからは自然の牛肉を食べようではありませんか。

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