相手の選び方関わり方

 今年の正月、昨年ノーベル賞を受賞された小林、益川のお二人が若い人とたちとの質疑応答の会がNHKで放送になった。そのなかである青年が自分は恋愛と勉学が両立しないけれどもどうしたらよいかと質問した。すると益川さんが言下に「それは相手の選び方が間違っている」と答えられた。一瞬きょとんとしている青年に、益川さんは奥さんと関係ができることによって益々熱心に研究に取り組むことができるようになったというようなことを答えられた。本当に良い人にめぐり合うと、益々元気が出て、自分を高めていくようになるというのである。だからあなたは相手の選び方が間違っているのだと。自分が好きと思う人を得ようとするのでなく、自分を高め、元気にしてくれる人を選ぶべきだということでる。

 漱石も言っているように、愛は宗教心と同じで、相手の美しさや気高さに影響されて、自分が美しい心に、もっと気高い心になっていくものだ。それに加えて、実際には益川さんが言われるように、益々元気になって意欲的に仕事ができるようになる、そういう相手に出会うべきなのである。

 自称境界例という人のなかには相手を変えて次々に恋愛をして、裏切られ傷ついて泣いている人がいる。そういう人も相手の選び方やかかわり方が間違っていると思う。その多くは女性である。メールが期待通りに返ってこないとか、ちょっとした言葉の行き違いから言い合いにあり、心が離れていると感じてしまう。そうして終にはいきり立って別れてしまうのだ。

 そういう人は愛のなかでぴったりと寄り添ってほしいのだろう。性的な関係のなかで抱かれ陶酔し無我夢中になっている自分、そういう自分を持続的に守ってほしいのであろう。性のエクスタシーのなかにずっとひたって一体感を感じていたいのかもしれない。それは胎児の頃に経験しているもので、生まれ出た後では到底無理なことである。

  淋しさを抱えている女性の固い態度の背後にはこの抱擁願望があるのではなかろうか。私たち男性は女性がそんな願望を抱いているなんてほとんどその場では感じることができない。こうして考えてやっとわかることである。この抱擁願望を理解すれば源氏物語も素直に読めるのかもしれない。男性には察しのつかない世界である。

 このような淋しさを抱えた女性はアガペだけでは決して満足できないだろう。またエロスだけでも次々と傷つく恋愛関係を反復するだけである。エロスは許さないが、しっかりと話のできる人に相談していると、そこでしっかりとした信頼関係ができる。信頼できる人に見守られながら恋愛を進めていくとそのエロスの関係も安定してくるのではないか。

 

 自称境界例という人は、しっかりとした大人に向き合うと怖いので避けるだろうが、つまらないプライドを捨てて、本もののプライドを持つべく努力をしてみると良い

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