ソウルのソウル魂との出会い

 今年の夏休みは、お盆の時期に韓国の箱庭療法研究会の方がお見えになって、私たちの東海箱庭療法研究会と合同の事例研究会を開催しました。


 初めて、外国の方をお迎えして、研究会をするということで、この夏はとても気を使いましたが、通訳の方の献身的なお世話でお互いに満足のいく結果が得られたことに、心から感謝しています。特に権?珠先生の控えめで、しかも気配りのある丁寧な通訳はお互いの疎通にとても温かみを与えたのではないかと思います。カウンセリングは言葉のやり取りです。私たちの使う言葉に暖かい気配りがあると、ずいぶん違うのだろうと思います。日頃の心理分析の冷たい態度が出てこないように気をつけたいと思います。

 檀渓心理相談室での箱庭を作る会、京都大学での「心理臨床の役割と目的」と題した国際シンポジュウム、そして日韓合同の事例研究会での印象は、終始韓国の方々の積極的に学ぶ姿勢に圧倒されたと言うことです。

 今日本女性は冬ソナのぺ・ヨンジュさんという男性に心を奪われていますが、私たちは韓国からやってきた7人の女性に圧倒されたと言えます。

昨年の11月と今年のGWに私はソウルで箱庭療法に関して話をしました。その話が良かったらしく、今度来日された方々は、箱庭療法の本山を見学しにお出でになった感じがあります。私は自分を大した者はないと思うのですが、韓国の方から見ると、自分たちよりも一歩先を進んだところはすごく立派なところに見え、多くの人がフロイトの家やチューリッヒのユング研究所を訪ねられたように、私の相談室を見にお出でになったのかも知れないと思いました。

 でも、私自身は私以上でも私以下でもない、だから、ありのままをお見せして、誠実に対応することが大切だと考え実行しました。その結果、通訳の方々を精一杯働かせることになり、東海箱庭療法研究会の長坂先生にお盆休みに特別な研究会を開いていただき、このようなみんなの一致協力で、みんなが満足する結果を得たことはすごく良かったと思いました。このような満足は次には求められても難しいことでしょう。

 今度の出会いでは、韓国の方の積極的な質問から、学ぶ意欲が強いことが窺われました。初回の箱庭事例の検討だけでも30分以上続き、時間の配分を心配しなければなりませんでした。日本人は聞きたいところも聞かず、曖昧にして自分で考えるのが好きです。一方、韓国の人は曖昧にせず、わからないと思ったところは質問してはっきりさせていくところがあるようです。これは新しい発見でした。ソウルの人のソウル(魂)に接した感じがします。

 韓国の男性の優しさは日本人よりはるかにやさしいと以前から思っていました。これまでは韓国の女性の感情的な激しさが気になっていたのですが、芯の強さに支えられたやさしさも直接体験できてとてもいい交流会でした。

 このようなぬくもりのある交流から、私たちの心理臨床も人々の中に広がっていくことを期待したいと思います。来年は私たちがあちらへ行く番です。次はどうなるでしょうか。