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替えられない

 若い頃からひとり旅が好きだった。

 ひとり旅のいいところは自分の都合で自由に動けるところだが、一方で、いざという時に相談する人、どうしようと話し合う相手がいないのはデメリットでもある。困りごとやトラブルがあれば自分で考えてなんとかするしかない。今のようにスマホがあればひとりでも結構何とかなってしまうが、スマホ登場以前はひとりではどうにもならないことは誰か他の人に頼るしかなかった。例えば道が分からなかったり探しているものが見つからなかったり、そういう時は人に聞くしかない。実際、地元の人に聞けばすぐに解決することも多いのだ。若い頃はそれが分かっていても、知らない人に話しかけることにちょっとした勇気と覚悟を必要として、何とか自分でがんばってどうにかしようと右往左往することも多かった。

 何のためらいもなくさっと人に聞ける人もいるが、人に聞けば早いと分かっていても、必要以上にためらう人もいる。以前はさっと人に聞けない自分のことを否定的に考えたりもしていたが、今はどちらがいいとか悪いとかの問題でもないと思うようになった。人に聞けば確かにすぐに解決して、より効率的に動けるだろうが、試行錯誤しながらひとりでうろうろ、おろおろ行くのも後から思い返してみると悪くない体験だった気もするのだ。それぞれに自分の性格なり気質なりがあって、それによって苦手なことも得意なことも出てくるが、どれがよくてどれが悪いというものでもない。そういう自分に付き合っていくしかない。

 

 カウンセリングとは自分を変えるところでもあり、変わらない自分を発見するところでもある。変えるためのカウンセリングもあれば、変わらない自分と向き合うカウンセリングもある。どれがいいとか悪いとかいうものでもない。その時々で必要な方向性も異なる。変えること・変わることが必要な時もあれば、変われない・変わらない自分を見つめることが必要なこともあるだろう。

 ただ、ずっと自分と付き合っていくこと、この自分を抱えて生きていくしかないことに変わりはない。その自分が好ましいものであろうとやっかいなものであろうと、離れることはできない。他の誰かと取り替えることもできない。文句があってもなんとか協力して一緒にやっていくしかない。

この相談室では、より深く自分自身のことを考え、自分自身の道を少しでも自分らしく生きる、それにはどうしたらいいかを考えるようなカウンセリングを目指したいと思っている。

 

 

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