与那国に行ってきました

与那国島に行ってきました。

与那国島にはまだ古い信仰が残っています。昔々その昔与那国の人々は誰でも霊と直接話しすることが出来ました。でも、あるとき崖から落ちて死んだ牛を神様にお供えしたので、それ以来夏と冬、司と呼ばれる巫女を介して神のお告げを聞くようになりました。その儀式を与那国ではマチリと言います。マチリは25日間行われ、島中の地域、そして家々と神とたましいの絆を結ぶのだと思います。地域のこと、そこに住む人々の、多分本家の人が家、つまり一族のことについてお伺いをたて、生活の方針を立てていくのでしょう。

町の所々にある石や樹の根元に神が現れるところがあり、お線香を焚き、お神酒とお米をお供えして、司が祈り神のお告げを聞いて伝えるのです。(写真は挿入の仕方がわからないのでフェイスブックに出してあります)黄色の衣を着けた司がその地域の主だった人々の前で神に祈りを捧げ、神の声を聞いてそれを伝えるのです。そこに参加する人々は背広にネクタイを着け、正装し、司の言葉を聞いていました。多分、その地域の代表者や本家の当主だと思われます。

このマチリも現代の騒々しい文化の中で行われていました。

司が祈りを上げている時も、隣の小学校のチャイムが鳴り響き、横をバイクや車が走り、工場が近くにあるのか、鉄を打つ響がありました。マチリは25日間もあるのですから、マチリが島の神々の霊との交流であるとしても、それはその地域その家々のことで一々かまっておれないというのが実情なのでしょう。それは極日常にある私たちの神社仏閣へのお参りと少しも変わらないことだと気づかされました。

私たちの日常世界では神社仏閣にしか神仏は現れません。しかし、与那国では霊との交信ができる司が祈りを捧げるとき、その地域の霊が依代となる木や岩に現れるのです。私たちが神社仏閣で直接神仏に向き合うのに対して、与那国の霊的な力を持たない人々は司を介して霊のお告げを聞くのです。このことから考えると、私たちは自らも巫女のように霊性をもって祈りを捧げ神仏に向き合っていることがわかります。そして神仏に祈願して願い事を叶えようとするのですから、霊力を利用して少しでも幸運に与りたいと考えているのです。それに対して、与那国の人々は司を介して霊の教えを受け自の生活を正そうとしていて、少しも霊を動かして自分の運を良くしようとはしていません。与那国の人々は霊の導きに素直に従おうとしているのです。ここに少しでも得をしようとする欲にかられた考えありません。与那国の人は欲が少ないというよりも生活を正しく整えることが第一で、足りることを知っているのだと思います。

島の中央にはティンダハナタという聳え立つ岩山があります。街から見ると聳え立って見えるのですが、ホテルの窓から見るとその岩山は山奥から突き出した大きな岩でした。

 

ティンダハナタへ行って見ようと思って散歩に出ました。ホテルから坂を越え下ると交番があり、その横からティンダハナタへのゆっくりとした坂道があります。途中バナナの木がありますのでよく見るとバナナの赤紫の花があってその元にバナナの実がついていました。バイクやレンタカーで島を廻ると楽ですが、こんな野生のバナナは見過ごしてしまうのではないでしょうか。標識にしたがって細い道を入って行くと、岩山の岸壁と林の間に道が通っていて途中まで行くことが出来ました。その間祖納の街が見えるところがありますが、引き返すほかはありません。引き返して山の奥の方に上がっても岩山の上に上る道はなさそうでした。つまりホテルから見えるティンダハナタの丘は人が入れないところ、つまりは与那国の神々の霊が宿るところではないかと思いました。

多分この岩峰は与那国で最も聖なるところで、足を踏み入れてはいけないことになっているのではないでしょうか。岩山からは何箇所も湧水が湧きだしているところがあり、飲んでみましたが、あまり美味しいとは思いませんでした。気温は最低18℃位あり、湧水も温かく生ぬるい感じです。与那国の人もここを観光資源とは考えないと思います。

与那国の冬は曇りの日が多く、雨が降ったり風が吹いたり、湿度が高く、ホテルの部屋には除湿機が取り付けてあり、まるで北陸のような感じでした。持って行ったダウンジャケットが役に立ちました。

台湾がすぐ近くに見えるはずなのに、それが見えるのは稀なようで、最西端の灯台の壁に、台湾はこんなふうに見えるという壁画がありました。台湾が見えた人は幸運です。

風が吹いて波が高くなると船が出ず、雨が強く降ると飛行機が飛ばないようです。だから渡るのが難しいところで、与那国のことを「どなん」(渡難)と呼ぶのです。初日に泊まった民宿は「はいどなん」と言い、「はい」は南のことですから、はいどなんは南与那国、つまり与那国の南に楽園のような島があるということではないかと思いました。

牧場には牛や馬が放し飼いされ、小鳥が飛び交い、生け垣にはハイビスカスが咲き、庭先にはパパイヤの花が咲き実がなって、島バナナも実っています。

島は意外に大きくレンタルの車やバイクで周る人が多いですが、私は歩きました。歩くと色々なものが見えて来ます。祖納の川にはよどみに4、50センチのボラが群れていて、その直ぐ横に鷺が居眠りをしていました。那覇にはないのんびりした生活がここにはあります。

灯台裏の崖下の磯には大きな波が打ち寄せていました。写真を撮るのに両手で構えていても強風で揺れるので写っているか心配でした。これほどの風なら船も欠航して仕方がないと思いました。でもプロペラ機は飛んだのですから凄いと思います。

以上が昨年12月の与那国行きで思ったことです。特別何もないところですが、色々考えること学ぶことがありました。帰りに空港で与那国のちまきを買って来ました。我が家で開いたときは数日経って硬くなっていましたが、電子レンジで温めるととても美味しくなりました。やさしい味です。甘党にお薦めします。