女性の二つのタイプ

ユングは人に二つのタイプを考えた。意識の内向と外向である。このタイプ分けは、しばしば極めて外向的な人が自分は内向的と思っているので面白い。どうしてそうなるのか説明はややこしく、説明してもご本人には納得が行かないことが多く、難しい。

それに対して如何に述べる女性の二つのタイプはわかりやすく、大体納得してもらえる。

その二つのタイプというのは一人型とグループ型である。

一人型は、小学校5,6年頃からはっきりし始める。今まで仲良くしていた仲良しグループから外れて一人になる。一人になって夜一人で星を眺めているのが好きな子がいた。みんなが話している男の子の話には入っていけない。アイドルの話も興味が無い。
ときにはアイドルの出るテレビ番組もみたくない。そんなものには興味が無い。ときにはアニメもあまりみない。自分の心の世界に浸っているのが好きである。

グループ型の女の子は皆と何でも一緒にしていたい。一人がトイレにいくと従いて一緒にいく。友達の噂話が好きで、グループの仲間のそこに居ない子や他の子の批評になる。あの子はこうだ、この子はこうだという話で、グチャグチャした話である。そういうグチャグチャ舌はなしが接着剤になっている人間関係である。

そのグループには大抵リーダーが居て、その子のいうなりにグループは動いていく。

仲良し5人組あった。学校の行き帰り誰かが必ずはばにされる。リーダーだけははばにされない。リーダーがグループの誰かをはばにするのである。リーダーはきつい子で、きついこの親はまた性格がきつく、何でもきちっとしないと気がすまない。あれはこうすべきだ、これはああすべきだという考えで動いている。彼女の家で会食をすると、みんなが食べたらさっと片付け、お茶とお菓子になる、それも終わるとさっと片付けられる。まるで料亭かレストランのようである。

グループでは誰かがこれがいいというとみんなそれを買うことになる。こうして下着や化粧品や台所用品の販売が行われ、全く広告がされないのに商売が成り立つ。男性にはわからに不思議な世界である。

この女の世界で力をふるう女性は仕切り屋と言われる。仕切り屋というと、私は悪い印象であったが、私の研究会を世話してくれた女性にあなたは仕切り屋だねと言ったら、そうです、でも、良い仕切り屋でしょうという言葉が返ってきて驚いた。一人型であれ、グループ型であれ、女性の世界には仕切り屋が必要なのである。男性の世界では、根回しと言われるものである。根回しのうまい人、そういう人が政治のリーダーになる。日本の政治の世界で並み居る政治家たちを仕切る女性がいつ現れて来るだろうか。鉄の女と言われたサッチャー首相のようなリーダーが日本の女性に出てくることを期待しよう。

話が横道にそれたが、一人型の女性はどちらかと言えば内面に仕切り屋的なものをもっているけれども、グループを仕切ることはできない。かと言ってみんなに合わせることはできない。そうするとグループから外れることになる。

グループから外れると、教室の移動やお弁当を食べる時や休み時間に一人になる。一人型の女の子はこの一人の孤独に耐えなければならない。

それで未だ自我がしっかり出来ていない思春期前半、小学5,6年から高校1,2年生までの間、一人型の女の子はグループから外れて、不登校になったり、保健室に一人居たりする。

女性は一般的におしゃべりにできているのではないかと思う。何か話していないとつまらない。おしゃべりは女の呼吸みたいなものである。おしゃべりしないと生きていないようなところがある。だから、一人型で、思春期前半に孤独になってしまった女の子はまるで生気がない。せめて家でおしゃべりができたら良いと思うが、親が他のことに気を取られて子どもとおしゃべりをすることがないと、家でも生気がなくなる。

今までの不登校は3世代同居家族に多く、核家族化することなく、古い日本の文化のまま、配慮的な人間関係にとらわれていたことが問題であったが、最近の不登校の事例にはこの一人型の女性の問題が出てきたように思う。

その解決策は何か、それは父親や息子も含めた家族の中のおしゃべりではなかろうか。

 

〈次へ  前へ〉